第6回茶道文化検定【1級】 問題回答
2013年11月10日 日常≪茶の歴史≫
【問1】
長崎県平戸には栄西が宋から持ち帰った茶を植えたとされる「富春園」がありますが、平安時代初期に唐から帰国した最澄が近江坂本に開いたとされる茶園はどれですか。
⇒【答】4.日吉茶園
【問2】
千利休はそれまでになかった新たな茶碗を長次郎に作らせますが、当時何といわれましたか。
⇒【答】2.宗易形の茶碗
【問3】
後水尾天皇の子で、第百十一代後西天皇の譲位後の茶会の様子がわかる茶会記『後西院御茶之湯記』を書き残したのは誰ですか。
⇒【答】4.真敬法親王
【問4】
益田鈍翁は、狩野探幽旧蔵の弘法大師空海筆( 【答】 )を入手し、これを披露する茶会「大師会」を始めた。
⇒【答】2.座右銘
【問5・問6】
織田信長は奈良正倉院に伝わる名香( 【答5】 )を切り取り、その後京都相国寺で催した茶会で堺の茶人( 【答6】 )と津田宗及の2人に与えた。
⇒【答5】3.蘭奢待
⇒【答6】1.千宗易
【問7・問8】
「千家十職」は千家の茶道具を専門に制作する職方であるが、利休の時代には( 【答7】 )が、宗旦の時代には( 【答8】 )がいた。
⇒【答7】1.長次郎
⇒【答8】3.一閑
【問9】
茶碗に茶を入れ、湯を注いで茶筅で混ぜる方法が書かれている中国北宋時代の茶書の名を漢字で書きなさい。
⇒【答】大観茶論
【問10】
武野紹鷗は京都の公家に和歌を学んだとされていますが、その人物の姓名を漢字で書きなさい。
⇒【答】三条西実隆
≪茶事・茶会≫
【問1】
夜咄の茶事で用いられる道具に関する記述のうち、正しくないものはどれですか。
⇒【答】2.茶席内に露地行灯を持ち出すなど照明具の扱いに感興がある
【問2】
茶入をあらかじめ仕覆に入れず、そのまま水指の前に飾り付けて客を迎えることもある茶事はどれですか。
⇒【答】3.跡見の茶事
【問3】
炉を開く時季の前に催されるのが名残りの茶事ですが、「名残り」とは主に何の名残りですか。
⇒【答】3.壺の中の葉茶
【問4】
空也堂の茶筅売りは、何月頃の風物詩ですか。
⇒【答】3.12月
【問5】
俳句「口切に堺の庭ぞなつかしき」の作者は、『笈の小文』にて「西行の和歌における(中略)利休が茶における、其貫道する物は一なり」と書いたことでも有名ですが、それは誰ですか。
⇒【答】3.松尾芭蕉
【問6】
暁の茶事では初炭の際、夜半の陰の気が陽の気に転じる暁に汲み上げた井華水を釜に満たしますが、「暁」とは現在の午前4時前後をさす何の刻にあたりますか。
⇒【答】2.寅の刻
【問7】
立礼の茶事で使う、点茶盤に付属する椅子の名称を漢字で書きなさい。
⇒【答】円椅
【問8】
夜咄の茶事などの際、初入りをして主客が挨拶を交わした後、まず亭主は簡単に薄茶をさしあげ、客はおもあいでいただきます。この薄茶のことを何というか漢字で書きなさい。
⇒【答】前茶
≪茶道具≫
【問1】
平安時代中期の能書家「三跡」のひとりで、古筆「伊予切」や国宝「白氏詩巻」の筆者として伝わる人物は誰ですか。
⇒【答】3.藤原行成
【問2】
古筆「石山切」の名称の由来は何ですか。
⇒【答】3.戦国時代に本願寺があった土地の名に由来
【問3】
呉須赤絵といわれる焼物はどこの窯の産ですか。
⇒【答】3.漳州窯(漳=さんずいに章)
【問4】
日本からの注文の染付茶道具である祥瑞および古染付はどこの窯の産ですか。
⇒【答】1.景徳鎮窯
【問5】
対馬藩主宗氏が運営にたずさわった倭館窯の茶碗には、玄悦、茂山、弥平太など有名な陶工の名前があてられましたが、中庭茂山(茂三)の出身地は現在のどこですか。
⇒【答】4.長崎県
【問6】
千家十職のひとつである永楽家を盛りたてた功労者で、幕末京焼の名工であった永楽保全の本姓は何ですか。
⇒【答】3.西村
【問7】
次のうち「七種の蓋置」とされている蓋置を3つ選びなさい。(複数選択問題)
⇒【答】3.さざえ 5.一閑人 7.三つ葉
【問8】
焼物の種類である「交趾」の読み方を平仮名で書きなさい。
⇒【答】こうち
【問9】
茶碗の分類で、柿の蔕、蕎麦、御所丸、伊羅保、魚屋などを総称して何茶碗というか、漢字で書きなさい。
⇒【答】高麗茶碗
【問10】
琳派という芸術様式の一派が江戸時代を通じて創作を展開しましたが、その立役者のひとりで、画家の光琳を兄とする京焼の陶工の名前を漢字4文字で書きなさい。
⇒【答】尾形乾山
≪茶と禅≫
【問1】
大徳寺の開山である宗峰妙超の跡を継ぎ、大徳寺一世住持となった禅僧は誰ですか。
⇒【答】4.徹翁義亨
【問2】
無準師範から通称「板渡の墨跡」として知られる礼状を受けた、東福寺の開山である禅僧の国師号は何ですか。
⇒【答】1.聖一国師
【問3】
『山上宗二記』には室町時代に尊崇された墨跡の筆者が多数あげられていますが、そのうち唯一の日本の禅僧は誰ですか。
⇒【答】1.宗峰妙超
【問4】
建仁寺で開山の誕生を祝する行事として催される「四頭茶会」において、会場正面に掲げられる三幅のうち中央の画像は何ですか。
⇒【答】2.栄西禅師像
【問5】
『寒山詩集』に収められている詩を残したとされる寒山や拾得が、姿をあらわしたと伝えられる国清寺は中国のどこにありますか。
⇒【答】3.天台山
【問6・問7】
宗易の云、小座敷の茶の湯は、第一( 問6 )を以て修行得道する事なり。家居の結構、食事の珍味を楽とするは俗世の事なり。家はもらぬほど、食事は飢ぬほどにてたる事なり。これ( 問7 )、茶の湯の本意なり。
⇒【答6】1.仏法
⇒【答7】2.仏の教
【問8】
次の韻文は、国宝指定の墨跡である清拙正澄の遺偈に記されているものですが、この墨跡の通称を漢字で書きなさい。
毘嵐巻空海水立 三十三天星斗濕 地神怒把鐵牛鞭 石火電光追莫及
⇒【答】棺割の墨跡
【問9】
写真の禅語「( 問9 )」は『臨済録』に拠る語で、「立処皆真(りっしょみなしんなり)境来回換不得(きょうきたるもえかんすることをえず)」と続く。
⇒【答】随処作主
≪茶席の花≫
【問1】
『山上宗二記』に口切以後の冬の花として記載されているのはどれですか。
⇒【答】2.金箋銀台
【問2】
アツモリソウとクマガイソウは、『平家物語』で知られる平家の武将平敦盛と源氏の熊谷直実が背負う母衣の形と色を見立てての名とされますが、平家の母衣は何色ですか。
⇒【答】3.赤
【問3】
「四愛」とは、黄山谷の愛蘭のほか、陶淵明、周茂叔、林和靖ら中国の文人がそれぞれ愛したという故事にもとづいく四種の植物をいいますが、次のうち「四愛」でないものはどれですか。
⇒【答】2.竹
【問4・問5】
竹の花入としては、豊臣秀吉が( 問4 )を攻めた小田原征伐に千利休が随行した時、伊豆韮山の竹で作った「( 問5 )」をはじめとする三種が有名である。
⇒【答4】3.北条氏
⇒【答5】2.園城寺
【問6】
室町時代に用いられていた花入の様子がわかる書物で、同朋衆相阿弥の編と伝えられる座敷飾りの規式書の名称を漢字で書きなさい。
⇒【答】君台観左右帳記
【問7】
花入を壁に掛けるために工夫された、引き込み式の中釘の名称を漢字で書きなさい。
⇒【答】無双釘
≪懐石≫
【問1】
『万葉集』有間皇子の和歌「家にあれば( )に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」に見られるように( )は食物を盛ったり物を入れる器のことをさす。塩( )茶碗、碁( )椀など茶道具の名称にも用いられる。
⇒【答】3.笥
【問2】
「応天門の変」を描いた説話絵巻で、平安時代の役人や庶民の食事風景が見られる絵巻物は何ですか。
⇒【答】1.『伴大納言絵詞』
【問3】
『山上宗二記』に「会席の事」と題して「正風体なるは、日々、幾度も然るべし。その内、珍しき行は十度に一度、二度か」とありますが、下線部でいうわび茶の「正風体」がさす仕立ては何ですか。
⇒【答】3.一汁三菜
【問4】
元禄以来奢侈に陥っていた茶道界を批判し、利休への回帰を唱える藪内竹心の門弟関竹泉が書いた書物には、茶料理は「懐石」と書くべきと規定する記述がありますが、その書名は何ですか。
⇒【答】3.『茶話真向翁』
【問5・問6】
「七五三膳」の数の解釈には2種類あり、1つは式三献後の膳上の菜の数とする説である。もう1つは江戸中期の故実家による( 問5 )や江戸後期の料理書( 問6 )の数をもっていうべきとする説。
⇒【答5】1.『貞丈雑記』
⇒【答6】2.膳部
【問7】
「懐石」という表現が用いられる以前の永禄7年(1564年)成立の『分類草人木』では、懐石のことを何と表記していますか。漢字で書きなさい。
⇒【答】会膳
【問8】
『山上宗二記』でいうように( )とは茶席の中で話してもよいとされる内容のことであるが、茶事において懐石にあまり時間をかけすぎると、後座で主客が( )を楽しむ時間的余裕がなくなる。いま一度、利休が理想としたわび茶の懐石の精神を思い返したいものである。
⇒【答】数寄雑談
≪菓子≫
【問1】
主菓子として知られる「初雁」「水ほたん」「水仙粽」に共通する主な材料はどれですか。
⇒【答】4.葛粉
【問2】
『源氏物語』若菜上巻にある儀式を終えた公家たちが「つばいもちひ」食べる場面がありますが、その儀式とは何ですか。
⇒【答】3.蹴鞠
【問3】
菓子の茶事で知られる千宗旦の弟子のうち、伊勢神宮の式年遷宮の警護で伊勢を訪れたある藩主の所望による茶会で、供した菓子によって名声を得た茶人は誰ですか。
⇒【答】1.杉木普斎
【問4】
松平不昧の好み菓子でないものはどれですか。
⇒【答】3.長生殿
【問5】
餅皿のほか茶陶の伝世品が知られる近江草津の焼物の名称となっている、江戸時代から続く茶店の名物餅は何ですか。
⇒【答】2.姥ヶ餅
【問6・問7】
『風姿花伝』の著者として知られる能の大成者( 問6 )の作と伝えられていた謡曲( 問7 )中の表現が、日本の文書における「落雁」という語の初出とされる。菓名としての由来は、米粉のなかに黒胡麻を散らした様が落雁の風情と重ねられたものである。
⇒【答6】2.世阿弥
⇒【答7】4.『善知鳥』
【問8】
『日本書紀』の神武天皇に関する部分に「水なくして飴をつくらん」という記述があります。「あめ」の古名でもある「飴」の読み方を平仮名3文字で書きなさい。
⇒【答】たがね
【問9】
薯蕷饅頭の製造に使う米の粉の名称を、漢字で書きなさい。
⇒【答】上用粉
≪茶室・露地≫
【問1】
炉の手前隅に中柱を建て、その後ろに仕切壁を設けて点前座と客座を隔て、中柱のきわに火灯口を開けた構えを何といいますか。
⇒【答】1.道安囲
【問2】
次のうち、貴人口のある茶室はどれですか。
⇒【答】4.飛濤亭(仁和寺)
【問3】
各図の敷石の形式をさす名称の組み合わせが正しいものを選びなさい。
⇒【答】1.A:切石敷 B:霰くずし
【問4】
次のうち、茶室の好みの説明について正しくないものはどれですか。
⇒【答】4.澱看関は小堀遠州好みである
【問5・問6】
平安時代の( 問5 )ではゆかは板敷で、畳は座具として座る場所だけに置かれた。南北朝時代の歌会や茶会の場であった( 問6 )も、当初は板敷であった。
⇒【答5】1.寝殿造
⇒【答6】3.会所
【問7・問8】
裏千家の茶室「又隠」は( 問7 )が造った四畳半で、躙口の上には下地窓、点前座の入隅には上部を塗りさした( 問8 )があり、そこに花釘を打つ。( 問8 )には結び柳などを掛けるので、釘を柳釘、柱を柳柱ともいう。
⇒【答7】7.千宗旦
⇒【答8】楊子柱
【問9・問10】
本勝手の茶室の間取りで、[図A]は広さ「四畳半」、炉の切り方は「四畳半切」、[図B]の広さは「( 問9 )」、炉の切り方は「( 問10 )」である。
⇒【答9】二畳台目
⇒【答10】向切
【問11】
武者小路千家や大徳寺孤篷庵にあるものが代表的ですが、図の中門の名称を漢字で書きなさい。
⇒【答】編笠門
≪茶業≫
【問1】
江戸時代の製茶の様子を描いた絵画である、製茶図とよばれる作品類に関する説明として正しいものはどれですか。
⇒【答】2.丁寧に作業していることを誇張した部分がある
【問2】
次のうち「宇治七名園」とされるものをすべて選びなさい。(複数選択問題)
⇒【答】2.森園、3.朝日、8.宇文字
【問3・問4】
茶壺に納められる碾茶には2系統があり、茶銘の付された茶を( 問3 )といって詰茶と区別する。上質の茶葉である「初昔」や「後昔」には、御茶入日記に記される摘採日が慣習的に( 問4 )廿日とされたものがしばしば見受けられる。
⇒【答3】2.極上
⇒【答4】2.三月
【問5・問6】
江戸時代から現代にいたるまで、碾茶の茶銘に広く用いられるのが「昔」と「( 問5 )」である。一方、特に宇治茶における煎茶の茶銘として広く通用していたのが「( 問6 )」と「山吹」である。
⇒【答5】3.白
⇒【答6】4.喜撰
【問7】
次の文を読んで、( )に当てはまる植物性塗料の名称を漢字で書きなさい。
茶を加工する道具には、和紙が貼られ、防湿・防虫の効果を持つ( )が塗布される場合が多い。使い込まれた伝統的な道具は、艶やかな透明感のある茶色に変化していく。
⇒【答】柿渋
【問8】
茶壺に茶葉を収める際、上質の葉茶を入れる袋を何というか漢字で書きなさい。
⇒【答】半袋
全80問/100点満点(合格80点以上) 時間100分
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